ギター法話【ここにいないあなたへ】
ふと気づいた頃にSNSやテレビで、
「今夜はスーパームーンです!」
などと情報が出ると、
日本中の人が夜空を見上げるだろう、もちろん私も見上げる。
たまに見ることが出来る大きく綺麗な月に私達は癒される。
だが、スーパームーン以外の時も月はいつも照らしてくれているということを忘れてはならない。
月は晴れていても、曇っていても、雨が降っていても、照らしてくれている。
月が照らしてくれるから私達は夜道を歩くことが出来る。
2年前、胆振東部地震が起きた時、北海道中が停電した。
その日の夜、陽が沈むと辺り一面真っ暗になった。
空を見上げると月だけは輝いていた、そして月が何だか心強かったことを今でも覚えている。
照らしてくれてありがとうと思わず言ってしまうくらい、
街灯や家の灯りが消えてみて、月の光の有り難さも感じた。
私にとっては停電の中を照らしてくれたいつもの月こそが、スーパームーンだ。
いつも見ている景色も思いを寄せてみると見方や心も変わるのだ。
浄土宗の開祖、法然上人が読んだ詩で月に関する有名な和歌がある。
月かげの 至らぬ里は なけれども
ながむる人の 心にぞすむ
という和歌だ。
分かりやすくいうと、
月の光はいつも私達を平等に照らしてくれているが、
月を眺めた人にだけ美しい月を見ることが出来る。
同じように仏様(阿弥陀仏)やご先祖様も月の光のように、
いつも極楽浄土から照らして見守ってくれている、
そのことに気づいてお念仏を称えたり、手を合わせる人には、
周りを思いやる優しい心が宿り、仏様に間違いなくお救い頂けるものですよ。
という解釈である。私達が【気づく】というのがポイントです。
古くから日本では目に見えないものを大切にしてきている。
代表的なものが神様、仏様。
だがその前から大事にされている目に見えないものがある。
それはご先祖様という存在だ。
先立つ人に手を合わせる。
ここにいない人に手を合わせることを
私達日本人はいつから行ってきたのだろうか。
100年前?
500年前?
1000年前?
いや、もっと前から。
調べてみると歴史は深く、縄文時代と言われている。
その時代の人達はお墓を作り、漁で手に入れた物をお供えしていた形跡が残っているそうだ。
きっと1日の報告や感謝の思いを届けていたのだろうか、そう思うとなんだかあったかい。
日本人が先祖を大事にする、このルーツは私達が知らない遥か昔からDNAレベルで受け継がれてきたのだろう。
その歴史が現代まで受け継がれているのだ。
今から2年前、テレビを見ていたら、
ドラえもんの映画の主題歌に星野源。
源さんファンの私はこの見出しだけで前のめりで注目していた。
いざ映画が上映されるとテンションが上がった。
ポップなドラえもんの主題歌が最高だった!
だが、それ以上に心惹かれたのが挿入歌
【ここにいないあなたへ】だ。
この曲を聞いた瞬間、イメージとして浮かんだのはまさにご先祖様だった。
命の端で
辿った道には泡の轍
ここにいないあなたへ
空を見ては そっと手を繋いで
ここにいないあなたへ
潮の路が燃えている
引用:星野源『ここにいないあなたへ』より
父と母がいて、
おじいちゃんおばあちゃんいて、
ひいじいちゃん、ひいばあちゃん、
ひいひいじいちゃん‥と命は続いている。
この命の繋がりを10世代遡ると、なんと1024人ものご先祖様がいる。
数えきれないほどの繋がりがあって、
今、自分は命の端で生きている。
この命のつながり全てを総称して私達日本人は【先祖】と呼ぶのだろう。
ここにいないあなたへ
空を見て思いを届けたり、
お墓に手を合わせたり、
遥か昔の人も今の時代の生きる人も同じように先祖を大事にしてきたのだろう。
いつも月が照らしてくれるように仏様もご先祖様も見守ってくれている。
遥か昔からつながってきたありがたい命に気づき、感謝を捧げて祈ろう。
お浄土から見守っているご先祖さまも、
自分のこと思ってくれているんだなあと感じられると嬉しいでしょうね。
今夜、月を見上げてみませんか。
最後に、
今ここにいない大切な人を思い出しながら、聴いてください。
星野源さんのカバーで【ここにいないあなたへ】