布施と函館マラソンと私
7月7日、函館の初夏の風物詩、函館マラソンが開催された。
潮風香る海沿いと歴史溢れる街並みを8000人のランナーが駆け抜ける。
これまでに私はハーフマラソンに4回、フルマラソンに1回出場した。
今回は七夕も重なったので、体力を残すためにハーフマラソンに出場した。
函館マラソンに毎回参加して思うことを書いていきたいと思う。
毎度マラソンに出てすごいなあと思うのは、
21㎞や42㎞を走り抜くことではない。
なによりも沿道から応援してくれる人々や運営している方々のことだ。
近所付き合いを始め、人間関係が狭くなりつつあるこの世の中で、
見知らぬ人が見知らぬ人を応援する。こんな場はあるだろうか。
応援された方も笑顔に、応援する人も笑顔で。誰もが楽しい気持ちになる。
がんばれ!がんばれー!!!
負けるなー!がんばれー!
ゴールしたらビールだよ!
もう少しでゴールだよ!!
みんなそう言って声をあげて見知らぬランナーを応援してくれるのだ。
ある場所では和太鼓で、チアダンスで、音楽で、よさこいで、見知らぬ自分を応援してくれる。
そんな函館マラソンの会場は幸せというか平和そのものを表した場になっているような気がしてならないのである。
これは普段の日常生活ではなかなか経験できない光景であると思う。
私達人間は基本的に私が、私がと、自分のことで精一杯だ。
そんな自分第一ではなく、周りの人に何かしてあげたい、喜ばせてあげたい。
そう思って行動する修行のことを仏教では、
皆さんご存じの【布施】というのだ。
マラソンの応援や運営のボランティア等もまさにこの布施に当てはまる。
つまりは周りの人に、物で、笑顔で、優しい言葉で、心で、施しをすることである。
常に意識することはなかなか難しい。
だからこそ修行なのである。仏教とはどうやって今を生きていくのかを説いている教えだ。
布施の修行は相手を喜ばせることができるし、自分自身も心の優しい仏様のような人になっていくための近道でもある。
マラソンは、上り坂やくだり坂、まさかという坂もある。
走っていて1番苦しい時に、側で応援してくれる人がいる、声をかけて助けてくれる人がいる、
それはすごく嬉しいし、ものすごく力になるものだ。
もし1人ぼっちで42キロどうぞ走ってーと言われたらメンタル的にきついだろう。
でも隣で走ってくれる人がいる、応援してくれる人がいる、だからマラソンは頑張れる。
人生も同じだろう、調子の良い時もあれば思うようにならない時もある。
誰かが辛い時には応援する立場で、自分が辛い時には応援してもらう立場で。
誰もが人生というフルマラソンのランナーであり応援団でもあるのだ。
そんな強い絆や信頼関係、そして喜びの場を布施の修行は作っていく。
きっと布施を誰もが実行出来ていれば世界はきっと平和になるのだろう。
函館マラソンを運営している皆様、
応援してくれた函館市民の皆様、一緒に走ったランナーの全ての皆様に感謝申し上げて、
私からの布施と函館マラソンの締めくくりとさせて頂きます。
最高の時間を今年もありがとうございました!